教室/縞田みやぎ
うつむけたちいさなかたまりのように
おまえの
擦る音だけのからだが
ももいろのじゅうたんの上で
午後の満ちていく窓を
見ている
あしたのことを傾げて聞く指に
わたしの頬をなぜる指に
そろそろと落ちかかる
立ち枯れの向日葵
この白い部屋には
夜ごとにふりつもる朝がある
夜ごとにまっさらの雑巾で
払いのけられる
やわらかな
ほこりのように
母の手をもたない
運動服のわたし
切り揃えた爪に
消毒薬を吹き付ける
おまえを産んでやることなど
できはしなかったのだ
頬をなぜる指に
母のない言葉を
飲み込ませ
あしたの朝も元気で
と
わらう
わらう
わらう
夜ごとにあざやかに老いる
立ち枯れの向日葵のように
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