かげのけいれい/
たりぽん(大理 奔)
いのだよと
それは、打ち砕きたい妄想だ
石を投げる、ただ暗闇を割りたくて
同心円の動揺は
小さな波紋で岸辺を洗い
炎天下のデモ行進の叫びのように
かすかにゆらめいている
猛禽がまた切り取る
南風の香りは潮の香り
これがこの街の掟だ
あの時刻は長針と短針がほぼまっすぐに並ぶ
それは川面の黒さには関係ないのだろう
むさ苦しさに汗ばんだ額をぬぐうと
ふいに濃さを増した影が
やっぱりそらに敬礼している
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グループ"おくるうた"
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