連作「歌う川」より その1/岡部淳太郎
つの 感情を言葉に乗せた
声の総体であろうか
いや
歌とは
そのようなものではない
歌とは
そのような範囲にとどまることはない
歌は
鼓動
人間の
宇宙の
いつまでも終らない
果てしなく繰り返される生の
息吹である
川は
そのことを知っている
祈る人も
そのことを
知り始めている
歌う意味
だから
人は歌う
歌は生の果てしない鼓動だから
人は
今日も
街で
村で
輪の中で
あるいはひとりで
歌うのだ
ほとんどの場合
人は歌の本質を
知ることはないのだけれど
だから
[次のページ]
前 グループ"歌う川"
編 削 Point(5)