連作「歌う川」より その1/岡部淳太郎
(自らの源流を確認することなしには)
(先に進むことが出来ない)
この地上に
新しい人類が生まれようとしている
旧人類の泥の停滞を背負って
祈りによってこそ生きる
やがて
哲学者 あるいは
僧侶のような
新しい人類は流れ出す
大河の 最初の一滴になるため
この水源からの
川のように
歌いながら
流れ始める
流れる
流れる
水は
水が欲しい
俺たちの仲間が欲しい
そう願って
流れ始めて
流れ
流れて
仲間を増やして
川になる
だが
彼には仲間はいない
ただのひとりも
そう
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