連作「歌う川」より その1/岡部淳太郎
てている
今夜もまた
無数の隕石が 死んでいる
その記憶の持ち主のもとへ 辿りつけずに
かくして
今夜もまた
人々の 牛の眠り
現の眠り
いまは夜
祈る人は
眼下の川と
頭上の空を
同時に見つめている
彼は 心ある人でさえも見ることの出来ない
光景を見る
至るところに
星が遍在しているのである
それは
頭上の星だけではなく
眼下の川にさえも
無数にまたたいている
川床の石は星で
川原の石も星で
川べりに建つ家の窓という窓も星で
祈る人の眼には
夢を見る少女のように星がまたたいており
その心臓は星の脈動
恒星の
炎である
そのようにし
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