連作「歌う川」より その1/岡部淳太郎
かもしれません。この連作は「祈る人」
という主人公を設定して、その人物が川の上流から下
流に向ってひとりで旅をする姿を描いています。全体
を通してひとつの一貫した物語となるようなものを目
指して書いたのですが、池澤夏樹の詩集『塩の道』の
影響が多少あったかもしれません。こうした性質のゆ
え、一篇ずつを単独で取り出してもあまり意味がない
ものであるのかもしれません。
水源
新しい人類が生まれようとしている
山の中
ひとりの男が
ひとつの川の
水源を探し
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