8×2は永遠に/キセル
カラナイケド
「ほら、我慢しなさい」(蝋燭を見つめなさい!)
蜂に刺された
俺を連れて
おうちに帰る
鏡に映る
皆で仲良くお漏らしをしていた頃に
宝物が失われる前に
全ての時間は戻せはしないが
自分の時間は戻せるさ
今、この時だけは
だから、これが終わったら、
俺の体の不純物は、
全て取り除かれ、全て吹き飛び
全世界、全空間に撒き散らされる
今、この時も
校舎の時計は止まっている
風花が冷たい
心が結晶を求めている
天を見下ろせば、
生まれ来る命が憎い
水が這ってくる
ぎあまんが飛び跳ねる
それでも僕は、眼を瞑るわけにはいかない
瞬きさえ、してはいけない
僕は急いで布団をかぶり、その中で蝋燭を灯す
蝋燭がなくなったなら、近所の畑に行けばいい
少し蜂がいるだけで、
なんのことはない
僕らがすることといえば、
息ぐらいだ
今日も登校時間
俺も僕も
寂しげに、山吹色に
久遠 君を待つ
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