美しいミサイル/いとう
 

輪の裏で
小人の群れを掴み
握り潰す
手の端から
零れる体液を頬に塗ると
始まりと終わりの境界を見ることのない
私たちが
夕日を捕らえ
夜に
引きずり込んでいく
えりくすま、えりくすま、
妊婦は
怯え
その下腹部を潰し
美しいミサイルが
私たちを突き抜けていく

視界の端を
何かとても嫌なものが通り過ぎる
小人はそれを認めず
お互いの手と、手を、
潰れるまで握り合う
えりくすま、えりくすま、
貫かれた私たちの欠片が小人となって
とてもきれい、と囁き合い
夜空で砕かれるすべての私たちを見上げながら
輪の裏で
弔いのための祈りを紡ぐ
えりくす
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