スリーピング・ビューティ/こん
 
早春の森 おぼろな木洩れ日が
いのちを開いてゆく 

眠りから醒めたなら
うつむいてキスを待とう

切り株に 
いただいた指輪を置いて隠れた
そのうちに眠ってしまっていたの

何千年も何千年も何千年も
さみしささえ忘れて

思い出す
あなたの街のしろい家々
中央の噴水広場
こどもたちの歓声
塀に咲き乱れる赤い花 
 
ふわりと飛び立つ 

あいたい という鍵だけを持って
森はたちまち小さくなり
海を超える

あなたの街は
砂漠になっていた

白い塀だけが 

ぽつんと


流れる 砂

                     



また眠ろう









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