遠天/霜天
いつの間にか
とは言っても気付いてはいるし
知っていることと、そうでないこととの狭間で
見えているものは見えている
遠天
空が遠くなった
うつむいて歩いても、どこかで触れているような気がする
新聞なんて見ない、と言っていた君でも
身体の、奥のほうで心がすとんと落ちるそんな、
隙間で
感じてしまっている
月が小さくなる
綺麗な満月だった
言い訳をするような
ゆっくりの速度で
いつの間にか
とは言っても気付いては、いる
夜は少しずつ重くなり
朝は少しずつ軽くなった
何千年もそこにあるような
張り付いた風景を吸い込むと
僕らもそこに固定されてしまう
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