「エスプレッソ、トリプルで」/さくらいちご
 
私の彼は詩人である

ロマンチストな男の人はステキだと思っていたけれど、
実際に詩を書く男性に出会ったのは初めてのことだ

彼はデート中に立ち寄った喫茶店でも、お茶を飲みながら
一人の世界に入り、詩のような小説のような文字のつながりを
書いている

その横で私は本を読んだり、ショッピングの計画を立てたり
しているのだけど、彼が斜め上を見て何か考えたり、たまに
ノートをとじてボールペンをいじってみたりしている姿を
見ていたら、私も何か書いてみたくなった

一週間前にプレゼントされたボールペンの書き味も試して
みたいのだ


私も時々、書く手を止めて斜め上を見上げた
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