*ナディの新しい朝*/知風
び出すと
通りを走って横切った
ほら聞こえる
まだ聞こえる
新年の音
新年の音が行くよ
ナディは時計塔を駆け上がり
南の空を見た
そこにはたくさんの子供を連れて
星空へと昇る天使の姿
新年の音
新年の音が行くよ
パジャマの子供の銀河の中に
見つけた愛しい三人の子
ナディは大きく腕を伸ばし
天使の羽根をつかまえた
新年の音
新年の音が行くよ
新年の音が
裸足のナディは次の朝
時計塔の下で見つかった
誰もが彼女の死を悼み
夫は酒を浴びるほど呑んだ
胃液臭い新年の騒ぎの中
亡骸は墓場に運ばれた
棺桶のナディが横たわるのは
たくさんの造花の薔薇の上
やがて春が来て
野薔薇の蔓がまたひとつ
小さな棘をつけるだろう
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