恋/yukimura
 
揺れるベッドから理性が零れ落ちた
神性を目指した船の軌道が僅かに逸れたが
荒れたシーツの波は誠実な舵を狂わせる
足早に落ちてくる星 激しく吹く風
互いの舌の先から 獰猛な動物が飛び出して
互いを攻撃しあい交錯した
俺達の肉体の壁はそこから溶解して一つになる
下卑た欲望が汚れた密室で具現化される
無数の落雷が船体を焦がす
今までの人生の、あらゆる快楽のくだらなさよ
配線が焼けきれて機器がショートした
視界が真っ暗になる
ひりついた神経を絡ませて
脳天から足の先まで呼応しあっている
俺達は未来の約束もないままに
何かを殺すような熱で抱きあった


鼓動は過去を疑うよ
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