雨の日の為に/Utakata
 
 満たした

(紙屑が床に落ちている
 決して読まれ得ない手紙の文字たちが床に散らばっている
 彼らは既に何かを諦めてしまったかのようにも見え
 そういうものを見るのはいつだって少しだけかなしい)

それは冬の雨です
氷のような冷たさで少しずつ時間の流れを腐らせていく銀の筋です
まだ夜の気配の残る薄暗い部屋の中で
静かに泣き続けた彼らの声は雨音に紛れ
どこかへと消えた

雨の日のために誰かが涙を流さなければならないのだと、ある人は言った。
雨の日のために。
雨の日のために。
雨の日のために。

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