想い出から/
和泉 輪
青空や涙や鉄や靴
そのようなものと
血が繋がっている子
白昼のなかに
いつかのおまえは佇む
姿かたちはみえないのに
挨拶する声が聴こえる
十二月の終わり
終業式を終えた子たちが
跳ねるように歩いてくる
「君たちのお母さんの
幼い頃を憶えています」
「ごきげんよう」
「さようなら」
かつて青空の下で行われた
数々の楽しいこと美しいこと
それらの全てが私たちの
新しい伝統になればいい
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