シアトル・ピッツァ・タイム/肉食のすずめ
 
の細かなベーコンが焦げている
ママに二枚 兄と弟にそれぞれ三枚

ママがピッツァを食べ終えて細い煙草に火を点ける頃
太陽の光が赤く溢れる
全てをごまかす真実の光だ
三人は全く満足して頭部の前面を光に晒す

きわめて純粋な光
突如
窓の外に影が群れ
高速で行き交う
店内が斑に染まる
ママは気付かない振りをいつもする
ので気付かない
兄は直角二等辺三角形の
フォーメーションを自覚する
弟はどこからがピッツァでどこからがピッツァでないのか
分からなくなって少し止まる

誰だって
泣いてなんかいない
シアトル・タイム

ピッツァのような夕日を
ゆっくりすっかり食べてしまったら
車に乗って家に帰る
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