水の便り/ロク
「一日目」
悩んで迷って疲れた末に
ほんの少しだけ
夢をみました
(もしかしたら
逃げたかったのかも
しれません)
目覚めると 雨が降っていて
誰かの愛を 感じました
僕は 元気です
「二日目」
帰らない、と決めたあの日から
雨は暖かさを増すようでした
本当に帰れなくなりそうだ、と気づいたのは
水たまりに映った僕が
少し透き通ったように見えたからです
雨は勢いを増して降っています
いつか止む日はくるでしょうか
喉の渇きがおさまりません
「三日目」
息もできないほどの豪雨で
仕方なく岸辺に上がりました
今や川の中で生活している日々です
もう ずいぶん体も魚らしくなってきました
君は お変わりないですか
水辺で僕をみつけても
決して捕まえないでくださいね
君は魚が嫌いだから
そんな心配は無用かな
じゃあ、さよなら。
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