円錐と「ル」、若しくは「ルル」/六崎杏介
 
銃弾、放たれた 円錐 の、描く 螺旋には
Lu、が 似合う (若しくはLuLu、が)
レターナイフ、で 荒野の 黒山羊、其の
美しく、凶暴 な 角に、文字を 刻むなら
Lu、が 似合う (若しくはLuLu、が)

―アア、魔女リョーシカ人形の
   千の無意識へと、胎内回帰してゆく
  繰る様にルと呟く (若しくはルル、と)

祝砲、放たれた 円錐 の、導く 福音には
Lu、が 似合う (若しくはLuLu、が)
森深く、出会った 一角獣 を、抱擁して
彼の 白い、耳元で 囁く事 が、出来るなら
Lu、が 似合う (若しくはLuLu、が)

―アア、扉をノックする 者、が 居る
   キラキラ、と 涎を垂らし て、私は
  繰る様にルと呟く (若しくはルル、と)

微睡み の、中 円錐の塔を 登る
螺旋の 階段、を 私の微かな声が満たす
繰る−ル様にLu、と (若しくはLuLu、と)
      ―Lu、と LuLu、と。

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