眠れ、泥のように/知風
 
平線

おまえは泥の心を震わせ
天に根を張る巨樹を見るだろう

偉大なる静謐と永遠の寂寞を湛え
不動なるまま見つめる愛を


おまえは空に雄叫びを上げる


やがてその身が乾き砕け
大いなる同化が訪れる時

沸きあがる泥塔より堕ち
その身を還元流に横たえるも

眠る前にもう一歩行かんとする
おまえを夢が抱きとめる

おまえは心地よい疲労の中で
かすかなささやきを聞く


  おまえの泥のその体は
  あの巨樹の根元に届き
  やがて天をも抱え込む
  風の宿り場となりましょう


眠れ、泥のように
おまえの憧れが夢が
その無駄なあがきが
全てが美しく泥に還る

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