くまの/水町綜助
 
12月に雨は

不意に止み

突然降り出し

しかし僕は夏のさなかとかわらず

鬱蒼とした森の奥の洞窟

その奥の方へ

ぼんやりと

歩く

黄色い毛並みの蜂蜜熊のように怠慢

洞窟は

洞窟の中は

夏はひんやりと冷たく

冬はやわらかく暖かい

僕はちょうど一番奥で

行き止まりにどっかり腰を据えると

きのうそこに置いておいた蜜壷をとり

左手で壷のくびれに手を回し抱いて

右手ではちみつを掬う

僕は苦い顔ではちみつをみつめると

一息に口に押し込み

「ぐぅ」とか呻いて怒りの表情を

舌で蜜をかき回し
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