音/
松本 涼
闇はなめらかなビロードの手触りで
斜めに笑う君の口元にも似ている
僕のストレートな熱が君を抉るなら
声はもうぬかるみの土深くに沈めよう
突然に吠え立てる夜更けの野犬
滑稽に鳴り響く改札口の機械音
酔い落ちるスピードの気だるさの韻
甘やかな刹那の満ち引きとその先を
闇はなめらかに高濃度な音色にして
満足気にこの位置を不確かにする
戻る
編
削
Point
(5)