音/松本 涼
 
闇はなめらかなビロードの手触りで
斜めに笑う君の口元にも似ている

僕のストレートな熱が君を抉るなら
声はもうぬかるみの土深くに沈めよう

突然に吠え立てる夜更けの野犬
滑稽に鳴り響く改札口の機械音

酔い落ちるスピードの気だるさの韻
甘やかな刹那の満ち引きとその先を

闇はなめらかに高濃度な音色にして
満足気にこの位置を不確かにする

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