血液奇談/蒸発王
 
献血に行ったら
貴方の血は夕焼けなので
輸血用には使えません

断られたことがある

16歳の頃の話だ


『血液奇談』


今は何の因果か
私は血液職員として献血車に乗り
街から街へ血液を求めてさ迷っている
まだまだひよっこだが
こっちの世界で新しく知った事は沢山ある


一番驚いたのが

『人間の血は赤い』という通説は
半分アタリで
半分ハズレ
例えば
今さっき貴方の前を通過した男の子
彼の血はトマトの赤色
疲れた顔の彼はポストの
和服を着た上品なあの夫人は椿の
血気盛んな政治家は唐辛子の
床屋帰りの旦那さんはアキアカネの
結婚間
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