血液奇談/蒸発王
献血に行ったら
貴方の血は夕焼けなので
輸血用には使えません
と
断られたことがある
16歳の頃の話だ
『血液奇談』
今は何の因果か
私は血液職員として献血車に乗り
街から街へ血液を求めてさ迷っている
まだまだひよっこだが
こっちの世界で新しく知った事は沢山ある
一番驚いたのが
『人間の血は赤い』という通説は
半分アタリで
半分ハズレ
例えば
今さっき貴方の前を通過した男の子
彼の血はトマトの赤色
疲れた顔の彼はポストの
和服を着た上品なあの夫人は椿の
血気盛んな政治家は唐辛子の
床屋帰りの旦那さんはアキアカネの
結婚間
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(14)