昼下がりのテーブル/石川和広
コーヒーカップの横に、本がある。
『「待つ」ということ』 そう本がささやいている。
私の心に問われた。私は何を待っているのか?
コーヒーをかきまぜてみる。
耳が頭がカラダがざわざわしている。
ある日
バスを待っていた
私はバスに待たれていない
単純な事実
ぼんやりと立っている
運転手は時間を追いかける
乗客には用があり
私も学校に行くだけだ
雨のふる日
さむい朝
思い出すあいだ、私はわからないくらいの速度で、年をとる。
小さく小さく年をとる。
バスを待っていた私は、あんなに赤い頬をしていたのに。
それから
あの人の言葉を待っていたことが
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