*革命家の最期*/知風
た
通りには国の偉人
ジョニーの銅像が建った
民は勝利の美酒に宿酔い
気づけばまた置いてけぼり
ママはごみためみたいな
この通りを眺める
あの朝ジョニーを撃ったのは
政府の黒服たちじゃない
ジョニーは革命家ではなく
ひとりの男として死んだ
ジョニーは優しい嘘つき
本当に革命を望んでいたのは
引き金を引いた
このあたし
九十年間繰り返された悲しい嘘
マーギィ・マァリーもまた嘘つき
店の方からサマンサが
酒の注文を受ける声がする
五年前に店に来た
ほおずき亭の最後の娘
あの娘の春がただひとり
良い人にだけ届きますよう
ママは体を起こして筆を取ると
遺言状の続きを書き始めた
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