イニ/ねなぎ
 
どの場所がかも解らず
足を着こうとすれば脹脛まで
手を着こうとすれば肘まで
引き込まれるよように
重力に従っていた
声も出せずに沈み
起き上がろうと首を上げた時に
体が得体の知れない
粘着質な液状の闇に浸食される

拡散されて均一になる

ふと気がついていた

気がつけば浸っていた
思考さえも浮遊するように
手足を動かすのを止め
何処を見回してみても
べったりとした闇が境界も無く
目を閉じても続くように
発散しうねりと揺れも無く
ただ締め付けるように
全てが包まれる様に
ただ静かに動きも無く
意識さえも感覚さえも
曖昧できっぱりとはせず
沈んでい
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