人のために国がある/「ま」の字
 
 「民は国なり、国は民なり」。人のために国家はある。民の利益は「個」のレベルでは互いに衝突する場面があり、そこではじめて最終調整力(強制力付き)としての「公」が要請される。つまり、まず「個」があって、それだけでは上手くいかない(「個」が困る)から、「公(強制力)」が必要とされる。「個」と「公」はどちらも大切であり、密接に結びつく側面もあるが、あくまで「個」が元である。逆ではない。

 と、私は考える。「わがままな人間が増えた」というのは、単に調整が上手くいっていないか、調整される側が何でも自分の思い通りいくと思っているからであり、「公」を愛していないからとかいう話とは別次元だ。「公」が信頼され
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