体系 その中にある項目/雪井世良
 
項目は分断されている
各々の振動数もしくは結晶を静かに内包しながら
彼らは出会わない 間にあるのはただ経のみ
その細く永い線を造るのは ほんの一瞥

見つめあっている間 その線上で化学反応が
輻射する振動の変容が 経は
より力を得て強く 激しく熱を散らす
その絶頂が一気に下降して 経が消えるまで

それでも彼らは 変わらない動かない
完全に調整された構図
その要素であることの誇りに満ちて
凛と己の魂を保持し存在に歓喜している

人間とは大違いだ
我々の魂が完全な体系の中の項目だったなら
こんなことにはならなかったのに
それでも

不完全を愛していて
構図が狂うことを知っていても
打ちのめされることを覚悟さえして
無理矢理に手を伸ばしながら

ただ生きて

憐れみのように神の軌跡を辿り
体系 項目と経からなる
完全な構図の物を造るに励み
慰めを求めて
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