【明け方のカラスの声も】/
つむじまがり
明け方のカラスの声も
遠く聞こえる電車の音も
駅の雑踏も
私を癒しはしない
向かいの席で美しく眠るあの人も
競馬新聞のこの おじさんも
階段を駆け上がるミニスカートの女子高生も
私を奮い立たせはしない
江ノ島水族館が閉鎖されても
日光東照宮の柱が折れても
国鳥トキが絶滅しても
私を悲しませはしない
全てが意識の表面を流れて行く中で
硬い殻の中の私の心は
まだ綺麗な水を湛えているだろうか
まさかもう…
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