金魚(或いは彼らは痛みを知らない)/
Utakata
手触りを残して逃げる
彼岸花
執拗に逃げる彼らの一つをとうとう掴み取る
三十六度の血液が流れる手の中にある
水と同じ体温を持った生命の塊
(いいですか ヒトの体温は)
彼らは知らない
彼らはそれが痛みであるということを知らない
彼らは撓う 柔らかく熱い牢の中で体を捩る
彼らは知らない
彼岸花は揺れる
時間の澱んだ水の中に揺れる
瞼のない目で
何を見るのか
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