旅の終わりに〜善光寺にて〜(仮)/服部 剛
ぐ伸びる石畳の道を
巨きい本堂へ
木の扉はすでに閉まっていた
賽銭箱に小銭を投げ入れ
旅の終わりに両手を合わせる
( 喫茶店でケーキを食べながら
( 語っていた将来の夢
( 大きい黒縁めがねの下
( 光を宿していた
( 君の瞳
広い境内にぽつんと立ち
長野の澄んだ夜空を仰いだ
( 鳥の星座が
( 大きい翼を広げ
( ゆっくりと
( 天を羽ばたく
( 本堂脇の砂利道を
( 紫のマフラーを背中に垂らした
( 君の後ろ姿の幻が
( 闇夜に消えた
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