水没都市/月夜野
 
の水にも
 びくともしない
           

 水はいよいよ川のごとく街路を流れ
 池や堀や用水路さえも
 等しく川の一部になった
 やがて水は、わたしの脚から腰
 腰から胸
 胸から肩へと嵩を増し
 喉の奥へと押し寄せた
 こうしてわたしは内と外から
 水に溺れた



 反転した世界の底で
 わたしは最も下等な魚類となり
 地下王国の玉座の前にひれ伏すだろう



[グループ]
戻る   Point(14)