お父さんの車は私の知らない場所に走っていく/ki
 
私が昨夜、落としたビーズ瓶を踏みつけて
粉々になったのを
太陽から泳いできた魚たちが食べる

お父さんは
ここらでいいだろうと
トランクから釣竿を2本取り出して
私たちは釣りを始めた
釣り上げた魚は
なくしたおもちゃの指輪や
お母さんの片方だけある真珠のイヤリングをしていて
お父さんは大量だと笑って
私の左耳にイヤリングをつけた



ラジオはいつのまにか静かな波音
暗くて冷たい水が耳を塞ぐ
オレンジ色に光る瞳がこわい
お父さんがあれはオレンジだよと
ひとつもいでくれた
きれいなオレンジ色したビー玉
今でも持ってる



こわごわ手を伸ばす
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