景色が揺らぐ春の午後。/真紅
 
切な人が死んで、悲しくて悲しくてしょうがない。
そんな時は実像にすがるんだ。
家族や友人、恋人。
君の世界には実像がたくさんある。
それにすがりつくんだ。
そうすればきっと虚像はどこかへ飛んでいってしまうから。

景色が揺らぐ春の午後。
私は、視界に置き去りにしたままの感情を抜け殻の私に戻した。

頬を涙がつたう。

悲しみは涙になって流れ出た。

喜びは笑顔になって戻ってきた。
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