「脳梗塞」/広川 孝治
生意気にも
ねえ、お前たち
わたしは生きていても良いのかい?
なんだか最近そう思えるようになってきた
たとえ食事の支度ができなくても
お前たちに何をしてやることもできなくても
ただ世話になるだけであったとしても
わたしは生きていても良いのかい?
こんなわたしでも
お前たちの役に立っているのかい?
風がなり雨が唸る
飛び込んでくる外の音に耳を向けながら
わたしは声にならない言葉を繰り返す
ありがとう、お前たち
こんなわたしでも
お前たちの役に立っているのかい?
こんなわたしでも
生きていても良いのかい?
生きていても良いのかい?
戻る 編 削 Point(5)