残毀 /月夜野
 
  同じ一つのものを                   
  別々の名前で呼んだ咎によって           
  罪なき多くの血が贖罪の地に流され        
  同じ一つの光によって                 
  救われるべき人の命が                
  無残にも損なわれ                   
  世界はそれぞれの呼び名に拠って           
  なおも孤立している
                  

  かつてメコンを流れたものが             
  いまは火薬の臭いのする
  街の瓦礫の上に   
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