墓標/落合朱美
 
秋の胡蝶の薄い羽は 
微かな風にうち震え 
先細る命に慄く 

あえかな花の行く末は 
胸騒ぎがするから 
花占いの刑に処す

 命あるものの極みは地に堕ちて 
  蠢くものの餌食となりぬ

私は何喰わぬ顔をして 
すべての屍を葬り
石を積む 

聖人君子の衣を纏い 
経を読み祈る 
ふりをする  

 尊きは後生に享くる生なれば
  我が墓標には虚無と刻まん




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