卒業/いとう
三月になるとクラスメイトのほとんどが濡れていた
雨、と言ってもいいのかもしれない、粒子のような
猿、なのかもしれない本当は猿なのかもしれないね
と、語り合う口の中から粒が
粘り気を伴った
皮膚の、
するするという音がする、ような気がする、最後の、
幾筋ものものもの
(なめくじって英語で何て言ったっけ)
痕跡が廊下に。痕跡が廊下の上に。
痕跡が廊下の皮膚の。痕跡、なのかもしれないねと、
語り合う君が代 (キリツしてセイショウ)
校門の外へ続く、あれはおそらく私たちなのだろう
いつまでも濡れたままの私たちのままでいて、
春には、新しい私たちと入れ替わって、
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