先住民の故郷/小房 嘉納子
おとうさんとおかあさんに子どもが生まれ
子どもは幼稚園に行って中学生になって高校を卒業して
しばらくして妊娠しました
おとうさんとおかあさんと子どもは
さらにおとうさん2とおかあさん2と子どもになりました
一度も家を出なかった子どもは
おとうさんとおかあさんのすぐそばで暮らし
週に何度も食事をしに帰り
おとうさんとおかあさんは子どもが
おとうさんとおかあさんになった姿をみて
かいがいしく世話を焼くのでした
中には
いつでも帰ることの出来る隣町にて
一人暮らしを始める先住民たちもいて
「一人暮らしが夢だったの」と
夢見るように言いました
それらの何
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