乾いた部屋/yukimura
 
乾いた部屋の中で 僕は
水をこぼしてしまった
慌ててティッシュやタオルに吸いこませるけれど
水はカーペットや毛布の中に染みていった
ため息が空中で停止するくらいに
時はぬかるんで 流れがよどみ
掻きまわそうとする僕の手にべったりと絡みつく
こんな日が来るなんて想像もしなかった
こんな大人になるなんて信じられなかった
見てきた夢はいつだって僕を敗者にし
現実には懲罰が加えられた
やりたいこともなく、毎日の退屈を潰していく
友人たちを疑いの目で見ていた
暇な時間など僕には存在しなかった
僕はたくさんの遊びを放棄して
苦しい努力を続けたつもりだったけれど
世界は僕に

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