ブーメラン/唯川
太陽の残滓が髪をぬらす
あぜ道のかえるがむせかえる
笑えない冗談なんて言わないで
汚れたシャツが滲むでしょう
逃げ水へ手を引かれた先で
少年は樹液になった
少年は樹液になった
平たい石の湖面に跳ねる三回目
電子音のざわめきはなりをひそめた
棒になる足
ほつれたレース
泥だらけのワンピース
あなた、と、体験していること
やがて半透明になるかしら
傷一つないワゴン
滅菌質の違和を覚える
遠ざかるナンバープレートを追う少年が
ちぎれた排気を浴びながら
ぎゅう、とこらえて
ふりかぶるブーメラン
またいつか
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