かぶきちょう/李恵
いる
見えないのは敵だけだ
僕を嬲ろうとしてる君たちは僕の敵じゃない
僕の敵は目に見えなくて
でも確実に僕の目の前にあって僕に張り付いて
ねばねばした食虫植物に捕まってしまった哀れな子虫
僕はまるでコンドームみたいで
穴があいてるからポイ
ポイポイポイ
食虫植物に食べられて消化されずにさなぎになるさ
孵ったときにはみてろ
羽のない僕はねばねばしたものをぶらさげて
大笑いで僕をつくった両親に、政治に、国に、世界に、挑戦状をいどむよ
足枷はひとりじゃ取れないから
だから僕は目をつぶる
盲目の戦士は正しき道のみに光を与えてくれるのだ
戻る 編 削 Point(3)