ナイチンゲール/千月 話子
あなたの花開くようなお口へ
鈴の音の鳴る金のスプーンに
一さじの杏ジャムを載せて
含ませたいの
とても穏やかな様子で
わたくしの はやる気持ちを隠して
柔らかな顎に そ と手を添えてみたのよ
あなたは しかめ面して
いやいやを したのだけれど
温かさの通わない
わたくしの指先は 嘘つき
小さい あなたの
大きな 瞳が
『まだ だめよ』と言っていた
溢れ出る生命の雫が
窓ガラスを通り抜けて
日陰になった白い壁に
キラキラと チラチラと
瞬く光 瞬く・・・光り
鏡持つ子供等が
冬の日の晴れた太陽の温もりを
家々に届けながら
楽し
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