新人類(捨てられた男)/Terry
 
●捨てられた男

 周りは廃墟。少年が生きられる術もなく、飢えに苦しんだ。ただでさえ精神がやられているのに。頭にはノイズ(雑音)が走り、困惑している。死の淵に立たされていた。セリが温かい食事にありついている頃、セロは冷たい床で寝ている。
 翌日、囚われの身から解放されたのか、セロは地獄で正気に戻りつつあった。道路の脇にある錆び付いた看板を見ると、ダウンタウンと書かれていた。セロは落ちこぼれのように思うだろうが、世界で最も頭の切れる少年なのだ。地名からスラム街ということを推測し、SOS を要請した。ダウンタウン市街を担当する青年団が駆けつけ、セロを無事保護した。パンを一つ口にしたら蘇った感覚が
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