淡き妄想の果てに/yukimura
 
pale pinkの妖精が
空中で小さく輪を描いた
彼女は氷のように少しずつ溶けていく
僕は慌ててユニフォームを探す
あの日と同じ背番号で
大観衆の中、ピッチに立つ
崩壊は始まっている
全ての夢と同じように
銃弾の動きは鈍いけれど明確である
僕らの黄金の臓器を紙幣のように貫通し
内部は混乱し 
大量の涙が涙腺から避難してくる
あんなにも幸福だったのに
真っ白な太陽の下で
僕は僕の幸福を見つめていたのに
懸崖に残る オレンジ色のつま先を
静寂の絹糸が支えている
世界の傾斜に合わせて 滑り落ちていく
破線の正義を探している弱者よ
平等を装った閉鎖的な情報が
君の肉体をランダムに食い散らかし
君は小さな棺の中で残りを消化するだろう
偽者のような現実が
生を世界の片隅に追いやる

それでも僕はきっと幸福である
その時もきっと 僕は真っ白な太陽の下で
僕自身の幸福を見つめているのだから

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