いまごろ/蒼木りん
なんとなく
冬に
寒々としたあの山を見るのはきらいで
ここに帰ってきて
あなたに
寝巻きとかトレーナーとか
買ってやるからと
買い物に連れて行かれたりして
わたしも
誰かの子だったんだと
思い出す
要るものは
自分で買っていたから
そんなものは
しばらく人に買ってもらってなかったから
持ちきれずに
あとから届いたダンボールを開けると
食べきれないネギの束
しかも根つき土つき
年寄りはなんで
持ってきたおみやげよりも多いお土産
持たすんだよ
困ったな
返すもんがない
ネギ使う料理考えるけど
冬中使えた
食べきった頃
春の便り
あなたがいるから
本当の孤独ではなかったことに
いまごろ気が付いた
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