月と私/茉莉香
 
 私は起き上がるとその光を見つめる
 澄んだ空気と張り詰め思いつめた心は
 虚空に浮かびあがるあの少し欠けた月のよう
 
 暗い夜道を照らし出し闇のモノの存在を
 影として知らしめる
 それでも私は何も出来ずその影に怯えながら
 真っ赤なハイヒールをカツカツと音を響かせ
 月の光を浴び姿を浮かび上がらせて歩く

 誰にも見つからずひっそりと息を潜めている時
 このまま土に埋もれて何も残さず崩れ去りたい願望
 光はその行為を許さず私を照らし人々に晒す
 
 私はそれでも逃げるように歩き続け
 月は嘲笑をする 
 ー我も照らし出された者ゆえ
 そなたと共に照らされ そなたを照らすー

 悲しいその笑みは私を魅了し ヒールを脱ぎ捨て
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