俺がダライラマに会う日/構造
俺がダライラマに会う日
澄み切った空の向こうから遠鳴りが聞こえる
ビリヤード状に突かれた宇宙天体から膿がこぼれた
それは細菌ではなく原子力だった
放射能のかなたに
あらゆる透過された事柄が
俺の脳裏に浮かんだ
俺は東北のチベットといわれる
秋田県へ向かった
そこで吉田慶三郎に会った
しょっつる漬けを得意とする農業(53)だ
俺は胡瓜を五キロ渡して四千円を払い
漬け終ったら自宅に郵送してくれるよう頼んだ
帰りに酒田に寄り
金太郎寿司でシャコをたらふく食い
地元の高校生と、豪商本間様と
戊辰のうらみについて語り合った
そして山寺へと車を進めた
俺は回し車を押
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