オナンの裔/構造
 
を隠した
ゆえにかれは女を見なかった

オナンの裔は派手な看板を認めると
DVD自販機に立ち寄った
何も買わなかった
パッケージを見ると飽きるのだ
飽き果てたすえに
ほほえんで頭が醒めてゆく

空気が、
空気のドレスをまとい
空気の暖かさで顔を撫でる
携帯フラッシュメモリからの
割れた音のバッハにそまり
手をひろげながら
しばしの、何も無いロマンスに浸りながら
ただあるいてゆくと

清川出しは
圧力だけはオナンの裔の
存在しない女の形をして
かれをつつみこんだ

羽黒に到着したかれは
玉こんにゃくを食った
そして
女人禁制の山でゆっくりと
いない母親のつめたさにひたり

神はこれをみてよしとされた
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