寓話#4/Utakata
 

現在から百万年経った後の或る博物館を訪れる。超現実主義者の絵画にも似た未来の展示物に混じって、場違いなほどに色褪せた絶滅動物展示の看板。緑色のリノリウムでできた長い廊下の両端には無数の水槽が並び、恐らくその数は他の全ての展示物を合わせたよりも多い。廊下の終点にはひときわ大きな水槽が置かれ、そのなかには一匹の鯨が静かに横たわっている。その哺乳動物の姿にあまりにも心打たれてしまい、結局僕たち自身がどの水槽に入っていたのか調べるのを忘れてしまった。


彼と二人向かい合って煙草を吸っている。彼が煙草の煙を十分吸い込んだと見ると私は手を伸ばして唇に挟まれた煙草を取ってやり、彼がゆっくりと煙を
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