静物画/六崎杏介
 
愛しい煙草の小旗、意思問い
ムスク、灰はくすむ
へ屈すカフェ付加す机
法の神、彼の憂歩

静物画

表面沿うる指が列と為し
 部屋の四隅から撫で廻す
「嗚呼、飽和厭う此処は牢ですか?」
微かに陰戦す窓陽が
 第燦番の皮膚を転がり笑う
「いいえ、視野増し遊戯に
    剥がれて火照る寝室です」
天使の死に抱かれ暗澹の巣も浮く
 寒い朝の歌譜へ。
戻る   Point(1)